あなたの不妊症のタイプに合わせた漢方を選びます

あなたの不妊症のタイプに合わせた漢方を選びます 漢方

不妊症のタイプに合わせた漢方

福神トシモリ薬局には、「妊娠を希望しているのになかなか子宝に恵まれない」と多くの方が相談に来られます。

不妊症はタイプによってさまざまな症状があります。
福神トシモリ薬局では、不妊相談に訪れた方々それぞれに合った漢方の選定を行っています。
適した漢方を飲んでいただくことで、新しい命を迎え、育むための土台として身体を整えることができるのです。

不妊にお悩みの方に飲んでいただいている漢方を、不妊症のタイプごとにご紹介いたします。

不妊症の症状①腎陽虚(じんようきょ)

漢方の考え方における「虚」とは、「不足している」という意味です。
赤ちゃんを授かるための身体づくりでは、漢方を飲んでいただき、不足している精を補給する必要があります。
これには強精作用を持つ「鹿茸(ろくじょう)」や、血を補う「地黄(じおう)」といった漢方を飲んでいただきます。

「腎」とは、単に腎臓を指すのではなく、生命のエネルギーの元となるもの、生殖器やホルモンなどを司るのも「腎」の働きのひとつで、西洋医学では視床下部や下垂体、卵巣などに当たります。

30歳を過ぎたあたりから、この「腎」の働きが徐々に弱まり、ホルモン分泌が悪くなります。
そのため卵の発育や質が悪くなり、排卵もスムーズに起こらない、といったこともあります。
そこで漢方による不妊症の治療では、まずこの「腎」を元気にする「補腎」を中心に進めていきます。

「腎」の精気は腎気と呼ばれ、さらに2種類に分類されます。

1つ目は、腎陽虚(じんようきょ)です。
「腎陽」とは、身体を温めたり、機能させたりするエネルギーの大元のことです。
エネルギーが不足すると、下半身に力が入らず足腰のだるさや下半身の冷えが起こり、夜中にトイレに起きてしまう夜間頻尿などの症状が現れます。

腎陽虚タイプの方には以下のような漢方を飲んでいただきます。

八味地黄丸

八味地黄丸(はちみじおうがん)…足腰の痛みやしびれ、腎機能低下にともなう夜間頻尿などの改善に用います。

鹿茸(ろくじょう)…鹿茸は「精」の不足から生じる子供の発育不良、不妊症などの生殖能力の問題、「腎」の機能低下、生命を円滑に維持するためのホルモンバランスや免疫の異常といった疾患の治療に用いられています。

 

 

 

不妊症の症状②腎陰虚(じんいんきょ)

2つ目は、身体をうるおわせ、栄養補給するのが「腎陰」です。
腎陰虚(じんいんきょ)は、腎がきちんと働けておらず、身体を潤す血が足りなくなっている状態です。
腎陰が不足すると、ほてりやのぼせ、乾燥などの症状が表れます。

腎陰虚タイプの方には以下のような漢方を飲んでいただきます。

知柏地黄丸(ちばくじおうがん)…手足や顔のほてり、むくみや寝汗の改善に効果があります。

亀鹿霊仙廣(きろくれいせんこう)…身体の潤いや精を補う作用があります。

不妊症の症状③気血不足

「妊娠できても流産してしまう…」という方の場合、この気血不足タイプが非常に多く見られます。
気血不足は、先天的な虚弱体質や過労、胃腸が弱っていることなどにより起こります。
不妊以外の症状として、元気がなく疲れやすい、ふらつきや目のかすみなどが見られます。
著しく体力が低下している時は月経にも影響があり、周期が早まったり、長期にわたって月経が続くことがあります。

気血不足タイプの方には以下のような漢方を飲んでいただきます。

当帰芍薬散

補中益気湯(ほちゅうえっきとう)…「補中」は、中(胃腸)を補う、「益気」は気を増す、つまり元気を出すという意味があります。胃腸のはたらきを高めることで食欲を促進して、人の身体の原動力である「気」を増やすのです。元気がない、疲れやすいという症状を改善します。

当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)…身体の中の余分な水分を利尿作用で取り除き、全身に栄養を与え血行を促進させます。

 


人参養栄湯(にんじんようえいとう)…消化器をはたらかせ、栄養を身体のすみずみに行きわたらせ「血(けつ)」を補います。さらに「気」を増やすことで、血を助けます。
少し動くとクラクラするような貧血の方などにも良いです。

十全大補湯(じゅうぜんだいほとう)…血を補い、腎や子宮の働きを高めます。
また胃腸を丈夫にし消化力を高めます。気の巡りもよくすることで、全体的な体力を向上させます。

不妊症の症状④肝うつ

精神的ストレスでイライラしたり、緊張したりすると、気が塞ぎ気血の流れが悪くなります。
不妊以外に、月経周期が不安定になるなどの症状があります。
肝うつタイプの方には以下のような漢方を飲んでいただきます。

・逍遥散(しょうようさん)…ストレスを感じたりイライラしやすいと肝のはたらきが悪くなります。 肝の働きを良くすることで、胃腸への影響を和らげます。

・加味逍遥散(かみしょうようさん)…気をめぐらせ精神を安定させ、さらに肝の働きを高めて気血の循環をよくします。熱症状のある身体の余分な熱を冷まします。

不妊の症状⑤痰湿(たんしつ)

胃腸の機能が乱れると、体内の水のめぐりが悪くなります。
流れが滞った水は、有害な物質に変化してしまいます。
この痰湿にはさまざまな原因がありますが、 油っこいものや味の濃いものを食べ続けるなど、胃腸に負担をかける食生活により引き起こされるケースがあります。
肥満やむくみ、身体がだるい等の症状のほか、経血に異常がみられることもあります。

・六君子湯(りっくんしとう)…胃腸の働きを良くし、痰湿を取り除きます。

・藿香正気散(かっこうしょうきさん)…身体を冷やす食べ物や飲み物の摂取、または冷房などによる不調の改善に効果があります。食欲不振や下痢をしやすいなど、胃腸が弱い体質の方などに効果が見込めます。

不妊の症状⑥湿熱(しつねつ)

余分な水分(湿)と熱が結びつくと、ドロドロとした粘り気のある状態になって体内に溜まっていきます。
この状態を湿熱といいます。
老廃物として1カ所に滞るとニキビや吹き出物などの肌トラブル、かゆみや腫れ、化膿などを引き起こし、尿やおりものの異常がみられることもあります。
このタイプの方は肥満であったり、暑がりで汗っかきといった特徴があります。

湿熱タイプの方には以下のような漢方を飲んでいただきます。

アケビ

・竜胆瀉肝湯(りゅうたんしゃかんとう)…余分な熱と水を取り除きます。 特に熱感や痛みの症状が強い方に飲んでいただきます。

・五淋散(ごりんさん)…膀胱や尿道の熱や腫れを引かせて、排尿時の痛みや違和感を取り除きます。尿の出も良くします。

 

 

 

不妊の症状⑦瘀血(おけつ)

瘀血とはうっ滞している血液のことで、簡単に言えばドロドロとした血液です。
瘀血が体内にたまると、女性の子宮・卵巣をはじめ身体の機能に影響します。
月経周期の異常や排卵障害、生理痛などを起こすことがあります。
子宮筋腫・卵巣のう腫などの病気の原因にもなり、不妊の大きな原因でもあります。

瘀血タイプの方には以下のような漢方を飲んでいただきます。

茯苓

・冠心逐瘀丹(かんしんちくおたん)…目の下にくまができたり、頭痛や肩こり、めまいの症状がある方に用いられます。

上記までの流れはあくまで一例であり、皆様ひとりひとりによって適切な漢方の組み合わせや、必要な栄養素は異なります。

東洋医学は、西洋医学の対症療法とは異なり、「原因療法」を目指すと言われます。

 

その方に合った漢方をお飲みいただき不妊の一因となっている症状をやわらげ、赤ちゃんを授かるための身体づくりをすることが、子宝につながると私は考えています。

漢方で赤ちゃんを宿せる身体づくりを

女性

このように、不妊症の症状ごとに適した漢方があります。

福神トシモリ薬局では、不妊相談に来られた方それぞれの不妊のタイプに合わせた漢方を選定して飲んでいただいています。

赤ちゃんを宿し、育むためには、命がすくすくと成長できる土壌づくりが欠かせません。

 

子宝相談専門のカウンセリングと、ご自身の身体の状態に合った漢方・栄養素を摂取することで、不妊はもちろん、身体のさまざまなお悩みを解決する近道となることでしょう。

福神トシモリ薬局には40歳以上で不妊にお悩みの方も多く相談に来られ、元気な身体づくりによって妊娠に成功された方がたくさんいらっしゃいます。
当店で漢方を服用し、2014、2015、2016年の3年間で276人の方が妊娠し、その中で40歳以上の占める割合は42%です。

子宝に恵まれず、どん底の中諦めてしまいそうな方。
ご年齢の兼ね合いで、妊娠に対して焦りがある方。
長く苦しい治療に疲れてしまった方。

辛かったこととお察しします。
でも…まだ、諦めないでください!
福神トシモリ薬局で妊娠される方の2〜3 人に1人は、40歳以上の方です。
また、福神トシモリ薬局で妊娠された方の多くは、身体作りをすることにより自然妊娠する確率が高いです。

不妊症でお悩みの方は、ぜひ一度福神トシモリ薬局へご相談ください。
遠方からのお問い合わせにも柔軟に対応させていただきます。

歳森 和明 / 薬剤師 - 国際中医専門員A級

薬剤師、国際中医師、笑顔セミナー認定講師。漢方薬局三代目。おだやかで大人しく見られがちですが、サーフィン、ダイビング、トライアスロンなど身体を動かすことや、食べ歩き・旅行が大好きなアクティブ人間です。SNS(Twitter、Facebook)で漢方や健康情報、勉強会情報を随時発信しています。